ペーパーレス化という言葉を耳にする機会は増えましたが、
「うちの会社はまだできていない」
「何から手をつければいいか分からない」
と感じている中小企業の方も多いのではないでしょうか。
日々の業務に追われる中で、紙の書類を減らしたいと思いつつも、 印刷・配布・保管といった作業が“当たり前”になってしまい、結果としてペーパーレス化が後回しになっているケースは少なくありません。
しかし、ペーパーレス化はDXやAI導入のような大がかりな取り組みではなく、業務を少し楽にするための現実的な改善策でもあります。
特に中小企業にとっては、コスト削減や業務効率化、属人化の解消といった面で効果を実感しやすい施策のひとつです。
これからペーパーレス化を検討したい方、何から始めるべきか悩んでいる方は、ぜひこの記事を参考にしてみてください。
Contents
中小企業にとってのペーパーレス化とは?
ペーパーレス化というと、「紙を一切使わない状態にしなければならない」といったイメージを持たれがちですが、中小企業にとってのペーパーレス化は“紙をゼロにすること”が目的ではありません。
本来の目的は、
- 日々の業務を効率化すること
- 無駄なコストや手間を減らすこと
- 特定の担当者に業務が集中する状態(属人化)を防ぐこと
といった、業務改善そのものにあります。
例えば、毎月発生する書類の印刷や配布作業、過去書類の保管・検索、再発行対応などは、紙で運用しているとどうしても手間や時間がかかります。
こうした業務の一部をデジタル化するだけでも、作業時間や負担を大きく減らすことができます。
また、DXやAIといった言葉が注目されていますが、それらを活用するためにも、まずは情報がデジタルで扱える状態になっていることが前提となります。
ペーパーレス化は、難しいIT施策の前に取り組める、業務改善の“土台”となる施策といえるでしょう。
中小企業は「紙が多い業務」からペーパーレス化する
ペーパーレス化を進める際に重要なのは、すべての業務を一度に変えようとしないことです。
中小企業の場合、まずは「紙が多く、毎月・毎日発生する業務」から取り組むことで、無理なく効果を実感できます。
ここでは、ペーパーレス化の第一歩として取り組みやすい代表的な業務を紹介します。
給与明細・賞与明細
給与明細や賞与明細は、毎月・毎回必ず発生する紙業務の代表例です。
印刷・封入・配布といった作業が発生するうえ、配布漏れや再発行対応など、見えにくい手間もかかりがちです。
定型業務である分、ペーパーレス化による効果が分かりやすく、最初の取り組みとして選ばれるケースが多い業務です。
勤怠・申請書類
勤怠表や各種申請書類(休暇申請、残業申請など)も、紙で運用している企業が多い業務のひとつです。
承認フローが紙のままだと、
- 回覧に時間がかかる
- 承認状況が分かりにくい
- 保管や検索に手間がかかる
といった課題が生じやすくなります。
ペーパーレス化によって、確認や承認のスピード向上が期待できます。
請求書・領収書
請求書や領収書は、取引先とのやり取りや経理処理に関わるため、紙の管理が煩雑になりやすい業務です。
ファイリングや保管スペースの確保、過去書類の検索などに時間がかかっている場合、ペーパーレス化による効率化の効果を実感しやすい分野といえます。
社内配布資料・マニュアル
会議資料や社内マニュアルなども、紙で配布していると差し替えや更新のたびに手間が発生します。
デジタル化することで、
- 最新版の共有がしやすい
- 配布・回収が不要になる
- 在宅勤務や外出先でも確認できる
といったメリットがあります。
ペーパーレス化を成功させるためのポイント4つ
中小企業がペーパーレス化を進めるうえで押さえておきたいポイントを整理します。
①小さく始めて成功体験をつくる
最初から完璧を目指す必要はありません。
まずは一部の業務から始め、「楽になった」「時間が減った」という成功体験を積み重ねることが大切です。
②現場の運用に合わせたツール選定
ツールは多機能であることよりも、現場で無理なく使えることが重要です。
実際の業務フローに合っているか、運用が複雑にならないかを意識して選定しましょう。
③社内ルール・説明をセットで行う
ペーパーレス化を進める際は、
- なぜ導入するのか
- 何がどう変わるのか
を社内で共有し、簡単なルールや運用方法を決めておくことが重要です。
説明不足は、現場の混乱や形骸化につながります。
④「続けられる仕組み」を重視する
ペーパーレス化は一度導入して終わりではありません。
担当者が変わっても、業務環境が変わっても続けられるよう、シンプルで分かりやすい仕組みを意識することが成功のポイントです。
失敗しやすいペーパーレス化の進め方
ペーパーレス化はメリットが多い一方で、進め方を間違えると「結局使われなくなった」「現場が混乱した」という結果になりがちです。
ここでは、中小企業でよくある失敗パターンを紹介します。
いきなり全業務を電子化しようとする
ペーパーレス化を進めようとすると、「どうせなら一気に全部やってしまおう」と考えてしまいがちです。
しかし、全業務を一度に電子化しようとすると、導入や設定が複雑になり、現場の負担が一気に増えてしまいます。ペーパーレス化は、小さく始めて徐々に広げていくことが重要です。
現場の運用を考えずツールを導入する
「便利そう」「他社が使っているから」「CMをしているから」といった理由だけでツールを導入してしまうのも、失敗しやすいポイントです。
ツール選定の際は、現場で無理なく使えるかどうかを重視することが大切です。
「導入=ゴール」になってしまう
ペーパーレス化は、ツールを導入した時点がゴールではありません。
導入後に「どう使うのか」「どう定着させるのか」を考えていないと、形だけのペーパーレス化になってしまいます。継続して使える仕組みづくりを意識することが重要です。
社内説明・ルール整備が不足している
ペーパーレス化を進める際、担当者だけが理解していても、現場に正しく伝わっていなければ意味がありません。
簡単なマニュアルや説明の場を設けるなど、社内への丁寧な説明とルール整備も、ペーパーレス化成功の重要なポイントです。
最初の一歩におすすめ!給与明細のペーパーレス化
数ある業務の中でも、給与明細のペーパーレス化は特に取り組みやすい施策です。
給与明細は毎月必ず発生するため、ペーパーレス化による効果を短期間で実感しやすく、印刷・封入・配布といった作業をまとめて削減できます。
また、従業員にとっても、
- スマートフォンやパソコンで確認できる
- 過去の明細をいつでも見返せる
- 再発行を依頼する必要がない
といった利便性の向上につながります。
給与明細を紙で配布し続けるリスク
給与明細を紙で配布し続けることで、次のようなリスクや負担が発生しがちです。
- 配布漏れや紛失のリスク
- 再発行対応にかかる手間
- 在宅勤務やアルバイト、多拠点勤務への対応が難しい
一見すると小さな手間に見えても、毎月積み重なることで、担当者の負担は大きくなっていきます。
給与明細をペーパーレス化するメリット
給与明細をペーパーレス化することで、
- Web上で安全に給与明細を配信できる
- 印刷・郵送コストを抑えられる
- ITに詳しくなくても運用しやすい
といったメリットが得られます。
近年は、中小企業向けに初期費用を抑えて導入できるサービスも増えており、「ペーパーレス化はハードルが高い」という印象は変わりつつあります。
ペーパーレス化は中小企業の業務改善の第一歩
ペーパーレス化は、特別なIT施策や大規模なシステム導入ではありません。
日々の業務の中で「紙が多い」「手間がかかっている」と感じる部分を、少しずつ見直していくことが第一歩です。
人手の少ない中小企業こそ、ペーパーレス化による
- 業務効率の向上
- コスト削減
- 担当者の負担軽減
といった効果を実感しやすい環境にあります。
まずは給与明細など、身近で定型的な業務からペーパーレス化を進め、無理のない形で業務改善を積み重ねていきましょう。