働き方改革や人手不足が進む中、多くの企業で「バックオフィス業務をどう効率化するか」が大きな課題になっています。
給与明細の配布、勤怠や申請の管理、データの取りまとめ、社内ITサポート……。
どれも日々の業務には欠かせないものですが、担当者が限られ、紙やExcelが残っている会社ほど時間が奪われ続ける仕組みになりがちです。
実際、バックオフィスの負担は業務量の割に可視化されにくく、改善の優先度が下がりがちです。しかし、少しの見直しでも効果は想像以上に大きく、コスト削減やヒューマンエラー防止につながります。
とはいえ、「どこから手をつければいいのか分からない」という声もよく聞かれます。
DXと聞くと大掛かりなIT投資を思い浮かべがちですが、実は小さな取り組みでも十分に“働きやすさ”は変えられます。
そこで本記事では、今日からでも取り入れられるバックオフィスDXの3つの第一歩をご紹介します。
業務が分散して非効率になっている、担当者が属人化している、紙文化から脱却したい……そんな課題を感じている企業ほど効果が出やすい内容です。
Contents
その1:紙文化をやめる「給与明細のペーパーレス化」
バックオフィスDXを始めるうえで、最も取り組みやすく効果を実感しやすいのが、給与明細のペーパーレス化です。
毎月必ず発生し、社員全員に配布する業務だからこそ、改善のインパクトが大きく、コスト削減効果も明確に表れます。
給与明細の電子化が“最初の一歩”に向いている理由
- 作業量が多いのに自動化されていない企業がまだ多い
封入・配布・郵送など、紙の給与明細にはアナログ作業が多く残っています。 - 労務担当者の負担が大きい
月末・月初に業務が集中するため、残業の原因にもなりがちです。 - 社員側の利便性も上がる
紛失の心配がなくなり、スマホでいつでも確認できるようになります。 - 導入ハードルが低い
勤怠システムや人事データとの複雑な連携が不要で、比較的スムーズに切り替え可能。
ペーパーレス化がもたらす効果
紙の明細を電子化するだけでも、次のような効果があります。
- 印刷・封入・郵送コストの削減
- 人為的なミスの減少
- 紙保管スペースの廃止
- 情報管理の安全性向上
- 配布作業の手間が消えるため、毎月の業務負荷が大幅に減少
給与明細は「毎月必ず発生する反復業務」なので、ペーパーレス化はそのまま効率化の積み重ねにつながります。特に、担当者が限られている企業や紙文化が残りやすい中小企業では、早い段階で効果を実感しやすい領域です。
その2:勤怠・労務・申請など管理がバラバラな問題を解消する
多くの企業で見落とされがちな課題が「情報の分散」です。
勤怠はAシステム、休暇申請はメール、経費申請はExcel…といったように、業務ごとに管理方法がバラバラだと、担当者にも従業員にも大きな負担がかかります。
“バラバラ管理”が引き起こす問題
- 入力・転記の工数が増える
- 情報の行き違いによるミスが発生しやすい
- 承認フローが見えにくく、処理が滞る
- システムやルールが複雑になり、誰も全体を把握できない
- すべてが人力でつながっているため、生産性が上がらない
これらは単体では小さな問題に見えても、積み重なると「バックオフィスが常に忙しい状態」を作り、改善が追いつかない原因になります。
情報やツールをまとめるだけで業務が劇的に軽くなる
勤怠・労務・各種申請など、関連する情報を“ひとつの流れ”として扱えるようになると、バックオフィスの効率は大きく変わります。
例えば
- 申請 → 承認 → 反映 が自動的につながる
- 必要な情報を探す時間がなくなる
- データの整合性が保たれる
- 従業員からの問い合わせが減る
- 月次処理のスピードが上がる
といったメリットがあります。
情シス担当がいなくても進められる
「システム統合が大事なのはわかるけれど、社内に詳しい人がいない」という企業も少なくありません。
実際、中小企業ほど情シス担当が不在で、管理が属人化しやすい傾向があります。
しかし最近では、
- システム選び
- 初期設定
- 運用サポート
- トラブル対応
などを外部に委託しながら、必要な部分だけ導入する企業も増えています。
“全部を社内で抱え込まない選択肢” が、情報の分散によって生じる課題の解消につながります。
その3:システム運用の属人化をやめる
バックオフィスDXを進めるうえで、もうひとつ見逃せないのが「システム運用の属人化」です。
勤怠、給与、労務、申請、ファイル管理、社内ツール…こうした業務を一部の担当者だけが理解している状態は、企業にとって大きなリスクになります。
属人化がもたらす代表的なリスク
- 担当者が休む・辞める・異動すると業務が止まる
- システムトラブルが起きても対応できる人が限られる
- マニュアルがなく、引き継ぎが難しい
- 業務のブラックボックス化が進む
- 改善しようにも「何がどう動いているのか」把握しづらい
属人化は、日々の業務が“特定の人にしか分からない仕組み”になっていることを意味します。
DXを進めても、その人に負荷が集中してしまえば、改善効果は十分に発揮されません。
属人化を解消するためにできること
システム運用を組織として扱うことで、リスクと負荷は大幅に減らせます。
- マニュアル化
操作手順やチェックポイントを言語化することで、誰でも対応できるようにする。 - クラウド化
管理者の環境に依存せず、複数名で分担しやすい体制を整える。 - 運用フローの整理
どの業務を誰が担当するのか、必要な権限や作業内容を明確にする。 - 外部の力を活用する
社内で完結できない部分は、専門家や外部エンジニアに補完してもらうことで安定性が増す。
システム運用の“分散”がDXを支える
バックオフィスDXは、単に新しいツールを導入するだけでは不十分です。
それを維持し、トラブルに対応し、業務に合わせて改善していく運用体制があってこそ機能します。
属人化を解消し、複数名で運用できる仕組みを作ることは、日々の業務が止まらないための“土台作り”となります。
バックオフィスDXを成功させるポイント
バックオフィスDXは「最新システムの導入=成功」ではありません。
日々の業務に無理なく定着し、担当者が継続して運用できて初めて効果が出ます。
そのためには、次のポイントを押さえておくことが大切です。
全部を一気に変えようとしない
多くの改善ポイントがあっても、最初からすべてを取り組む必要はありません。
まずは負担が大きい業務、効果が出やすい領域から取りかかるほうが定着しやすく、社内の理解も得やすくなります。
「紙」「情報の分散」「属人化」を優先して解決する
バックオフィスが非効率になる原因の多くは、 紙による運用・情報の分散・特定の人しか分からない属人化の3つに集約されます。
これらは互いに影響し合っているため、ここに着目して優先的に見直しを始めると改善がスムーズに進みやすくなります。
社内リソースにこだわりすぎない
情シス担当がいない、ITに詳しい人が少ないなど、社内だけでDXを進めるのが難しいケースもあります。必要に応じて外部のサポートや専門家を活用しながら進めることで、無理なく安定した運用が可能になります。
長期的に「運用のしやすさ」を考える
導入したときだけ便利でも、運用が複雑だと使われなくなってしまいます。
設定変更やトラブル対応のしやすさ、引き継ぎのしやすさを基準に選ぶことが重要です。
小さな第一歩が、会社の働き方を大きく変える
バックオフィスDXは、特別な専門知識が必要な取り組みではありません。
重要なのは、負担が大きい部分から順番に見直し、ムリなく続けられる仕組みを整えることです。
- 給与明細のペーパーレス化で月次業務を軽減
- 勤怠・労務・申請の一元化で情報の行き違いを解消
- システム運用の属人化を防ぎ、業務が止まらない体制をつくる
こうした小さな改善を積み重ねるだけでも、バックオフィスの効率性は大きく変わります。
人手不足が続くいま、DXは「いつかやるもの」ではなく、企業を支えるための現実的な選択肢になりつつあります。
ボンズテックでは、給与明細の電子化から情シスサポート、システム開発・業務ツールの構築まで、さまざまな角度からバックオフィスDXを支援しています。
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