深刻化するIT人材不足、どう乗り越える?2025年最新動向と対策

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深刻化するIT人材不足、どう乗り越える?2025年最新動向と対策

2025年現在、企業におけるITエンジニアのニーズは極めて高い水準で推移しています。その背景には、DX(デジタルトランスフォーメーション)の加速、生成AI技術の進化、クラウドシフトの拡大など、企業活動のあらゆる領域で「IT人材」が不可欠となっている構造的な変化があります。

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近年のITエンジニア人材動向

経済産業省が2019年4月に公表した「IT人材需給に関する調査」によると、2018年度の時点で既に約22万人のIT人材が不足しているとされており、その傾向は2025年現在も続いています。むしろ、DXやAIの進展により人材ニーズはさらに高まり、慢性的な人手不足の状態が常態化しています。特に注目すべきは、2030年にはその不足数が最大で約79万人に達する可能性があるという点であり、今後ますますIT人材の需給ギャップが拡大していくことが懸念されています。

約7割の企業がデジタル人材不足に陥っている

こうした需給ギャップは、現場の実感にも現れています。ウォンテッドリー株式会社が実施した調査によると、およそ7割の企業が「デジタル人材が不足している」と回答しています。その中でも最も不足しているとされるのがエンジニア職です。

企業のIT投資が戦略的な意味を持つようになった今、ビジネスをリードする開発力や技術的視座を持ったエンジニアが求められています。そのため、IT人材市場は質・量ともに厳しい競争状態にあり、多くの企業が「採用難・育成難・定着難」という三重苦に直面しているのが実情です。

ITエンジニアの有効求人倍率

エンジニア人材の「売り手市場」は、実際の求人倍率にも明確に表れています。東京ハローワークが公開している「職種別有効求人・求職状況」(令和7年3月分)のデータによると、ITエンジニアを含む「IT技術関連職」の有効求人倍率は3.64に達しています。これは、求職者1人に対して3.64件の求人があるという意味であり、非常に高い水準です。

また、IT分野全体の平均でも3.26倍となっており、他職種と比べて著しく高い需要が続いていることがわかります。ちなみに、全業種の平均有効求人倍率は1.53であり、IT関連職がいかに引く手あまたかが一目瞭然です。

2020年に新型コロナウイルス感染症の影響で一時的に求人が冷え込んだ時期もありましたが、その後は再び回復し、現在は右肩上がりで求人倍率が上昇しています。

特に人気/不足している技術領域

中でも特に不足しているのが、情報セキュリティ・ビッグデータ・IoT・人工知能(AI)などの先端技術領域です。これらの分野は企業の競争力に直結することから、多くの企業が専門スキルを有する人材を求めており、今後も需給ギャップはさらに拡大する見通しです。

このように、ITエンジニアは「全体的に不足」しているだけでなく、「特定領域でより深刻に不足している」のが現状です。

最新レポートに見る、IT人材確保の課題と企業の打ち手

2024〜2025年にかけて、IT人材の確保は多くの企業にとって重要な課題となっています。Mercer社が発表した「Global Talent Trends」レポートでは、現代の企業が直面している人材確保の課題と、その対応策について複数の観点から分析しています。

テクノロジー人材の獲得競争が激化

AI、クラウド、サイバーセキュリティ、データ分析など、急速に進化する領域で活躍できる人材へのニーズが急増しているとレポートでも指摘されています。特にAIエンジニアやセキュリティスペシャリスト、データサイエンティストといった職種は供給が追いついておらず、企業同士の獲得競争が熾烈を極めています。そのため、外部リソースの活用や副業・フリーランス人材の受け入れなど、柔軟な調達手段を取り入れる企業も増えています。

「スキルベース採用」へのシフト

これまで一般的だった「職種ベース」の採用から、「スキルファースト」への移行が進んでいます。これは、求める職種よりも個人が持つスキルを重視し、組織の中で柔軟に配置・活用する考え方です。実際、多くの企業が社内外のスキルを可視化・共有し合う「タレントマーケットプレース」の構築を進めており、プロジェクトごとに最適な人材をアサインする取り組みが活発化しています。

社内人材のリスキリングが急務に

外部からの採用だけでは、ますます多様化・専門化する技術ニーズを満たすことが難しくなっています。そのため、多くの企業が既存の社員に対してリスキリング(再教育)を行い、ITやデジタルスキルを高める施策を進めています。これはエンジニアに限らず、営業職や企画職など非IT人材にも必要とされる取り組みであり、今後は全社的なデジタルリテラシーの底上げが求められます。

報酬+柔軟性=採用の競争力強化

優秀なIT人材を惹きつけ、定着させるには「高報酬」だけでは不十分です。近年では、働き方の柔軟性、すなわちリモートワークの選択肢、副業の容認、プロジェクト単位での契約など、多様な働き方を提供することが企業の魅力の一部と捉えられています。特に若手やフリーランス志向の強い人材にとっては、報酬と同等、あるいはそれ以上に働き方の自由度が重視される傾向があります。

IT人材不足の打開策

慢性的なIT人材不足に悩まされている企業にとって、採用や育成に関する課題は年々深刻さを増しています。単に人を採用するだけでは解決できない構造的な問題がある中で、企業は新たな打開策を模索しています。ここでは、主な課題とあわせて、それに対する有効なアプローチをご紹介します。

社内採用の限界

多くの企業がまず取り組むのは、正社員としての中途採用や新卒採用です。しかし現在の採用市場では、そもそも十分な人数のIT人材が存在しておらず、候補者の獲得には長いリードタイムと高い採用コストが発生します。また、採用できたとしてもミスマッチのリスクを常に抱えることになります。

解決策の一例:リソースの柔軟性を高めるために、副業人材や業務委託・SESといった外部パートナーの活用を組み合わせる動きが進んでいます。即戦力を短期間で確保できる手段として有効です。

ミスマッチによる短期離職やスキル不足

スキル要件やカルチャーフィットのミスマッチにより、入社後すぐに離職してしまうケースも少なくありません。特に、カルチャーに合わない人材を採用してしまうと、チームとの協働がうまくいかず、早期退職につながりやすくなります。そのため、採用時点でスキルだけでなく、価値観や働き方の志向が自社と合うかどうかを見極めることが重要です。

解決策の一例:採用時にスキル評価を重視した「スキルベース採用」を取り入れることで、ミスマッチのリスクを軽減することが可能です。また、スキルテストや業務トライアルを通じたマッチング制度の導入も効果的です。

研修コストと即戦力化のギャップ

新人や経験の浅い人材に対して研修を実施しても、その投資が回収される前に離職してしまうことがあり、教育と定着のバランスが課題となります。

解決策の一例:リスキリング(再教育)やアップスキリング(能力向上)を支援する制度を構築し、段階的に社内で人材を育成する体制を整えることが有効です。さらに、教育支援と同時にキャリアパスや評価制度の見直しを行うことで、社員のモチベーション維持と定着率向上につながります。

SESで人材を確保するという選択

IT人材不足が深刻化する中、即戦力を柔軟に確保できる手段として「SES(システムエンジニアリングサービス)」が注目されています。単なるリソース提供ではなく、現場課題に合わせたスキルセットの提供やプロジェクト単位での対応など、課題解決型の伴走パートナーとしての役割が期待されています。

単なる「人材提供」ではなく、課題解決の伴走者

現場ごとのニーズに応じて、必要なスキルを持つエンジニアを柔軟にアサインできるのがSESの強みです。生成AIやクラウドなど高度な知識が必要な分野でも即戦力を必要な期間で確保でき、プロジェクトの成功に直結します。

マッチング精度や中長期の体制構築が鍵

SESは、単発のリソース提供にとどまらず、チーム単位での継続的な支援体制も構築可能です。特に、高いマッチング精度により、現場にフィットした人材を提案できるからこそ、長期的にも安定したチームを築きやすいという強みがあります。定着支援や育成を見据えた体制づくりまで対応できるSESパートナーが、これからの時代に求められています。

これからのIT人材確保は自社だけで行うものではない

今後、IT人材の確保は企業単独では解決できない課題となり、柔軟な対応が求められます。
特に、技術の進化が早く、必要とされるスキルが日々変化する中で、SES(システムエンジニアリングサービス)の活用が大きな鍵を握ります。SESを活用することで、即戦力となる人材を必要なタイミングで確保できる柔軟性が生まれます。

さらに、SESを活用する場合、単なる「リソース提供」だけでなく、企業の課題解決を一緒にサポートしていける信頼できるパートナーを選ぶことが重要です。パートナー選びは、チームの成長やプロジェクトの継続的な成功にも大きな影響を与えます。IT人材不足という共通の課題を乗り越え、企業が中長期的に競争力を維持するためには、柔軟な対応ができるSESパートナーとともに進んでいくことが、成功のカギとなるでしょう。

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